会社設立

新規にある事業を始める・・・または、既にある事業を個人事業で行っているが、会社にするかどうか迷っているという方も多いでしょう。会社を設立する主な理由を挙げてみますので、ご自身の事業の業態等でどちらが向いているか、考えてみましょう。

信用がアップする

例えば、出資・融資を受けたり、人材の募集や取引先の獲得にあたって、一般的に、個人事業に比べると会社の方が信用力があるとされています。

規模を大きくしやすい

会社は新たな出資者等より増資することができますので、個人事業に比べ規模を拡大しやすいといえます。

有限責任である

株式会社や合同会社は出資の範囲に責任が限定されているので、仮に多額の負債を負ったとしても、株主は出資額以上の責任を負うことはありません。

決算期を設定できる

個人事業だと皆そろって12月決算ですが、会社だと決算期を別に設定できます。

課税制度が違う

儲けに対する税金のかかり方が違います。個人の場合、課せられる税金は所得税です。超過累進課税のため、儲けが多くなるほど税率も上がっていき、最高税率は50%になります。一方、会社の場合は法人税で税率は一律です。 そのため、一定以上の儲けが出るようだと、会社の方が節税効果があるといえます。

 商号(会社の名称)について

「商号」とは会社の名称のことです(会社法6条)。商号はなんでもいいわけではなく、以下の1~5にそぐわない商号は認められません。

株式会社の商号には「株式会社」、合同会社の商号には「合同会社」という文字を含まなければならない。

他の法令により使用を禁止されている文字を用いることはできない。(銀行6条、信託3条等)

例)銀行、信託、証券、保険等の名称を、その文字のあらわす業を行わないものが使用することはできない。

会社の支店であることを示す文字や、会社内の部門であることを示す「営業部」などといった文字を使用することはできない。

ローマ字、「&(アンバサド)」、「’(アポストロフィー)」、「,(コンマ)」、「-(ハイフン)」、「.(ピリオド)」および「・(中黒点)」の6種の符号は使用可能であるが、字句を区切る際の符号として使用する場合に限り、先頭・末尾には使用不可。ただし、省略を示すことが明らかである場合のピリオドのみ末尾に使用可能。(商業登記規則51条)

同一住所・同一商号では登記はできない。(新商業登記法27条)

外国会社と取引する場合、契約の際等で、定款に英文での商号の記載していることを求められることがあります。その場合、定款の記載に「当会社は○○株式会社と称し、英文では○○ Co. Ltd.と表示する」等、定款に商号の英文での表示を記載しておきます。

また、会社設立後に商号を変更することは可能です。ただし、「登記事項の変更」の手続きが必要で、登録免許税が3万円かかります。

会社設立の流れ

会社設立のおおよその流れ・手順は以下の通りです。

会社概要の決定

定款の作成・認証

資本金の払い込み

登記申請書類の作成

会社設立登記

では、それぞれの手続きや方法について具体的にみていきましょう。

会社概要の決定

個人事業主が法人化する場合も、これから起業する場合も、まずはどのような会社を設立するか、会社の概要を決定しなければなりません。

このとき、以下の事項は最低限決めておく必要があります。

目的

商号

本店の所在地

資本金の額

発起人(出資者)

各発起人の出資額

発行可能株式総数

設立時に際して発行する株式の数

株式譲渡制限の有無

公告の方法

事業年度

設立時取締役・設立時代表取締役など

これらの事項は後述する「定款記載事項」となりますので、明確に定めておきましょう。

定款の作成・認証

決定した会社の概要について文書にまとめたものを「定款」といいます。
定款は「会社の基本ルール」とイメージしていただければわかりやすいでしょう。

株式会社の場合は、定款を作成した後、公証役場で定款が法令に基づいて作成されたことの証明を受けます。これを「定款の認証」といいます。

資本金の払い込み

発起設立の場合は発起人が、募集設立の場合は出資者全員が、発起人または設立時取締役のうち誰か1人の銀行口座に出資金を払い込みます。このとき払い込んだ金額が「資本金」となります。

資本金の銀行への払い込みは定款の認証を受ける前であっても問題ありません。

登記申請書類の作成

次に会社の設立登記をします。登記をするためには、登記申請書を作成し、定款や資本金の払込証明書、役員の就任承諾書など必要な書類を添付して法務局へ提出する必要があります。

登記申請書の記載事項は商業登記法で定められており、この法令に従って作成されていなければ申請は却下されます。一般的には、登記実務の専門家である司法書士に作成を依頼することになります。

会社設立登記

会社の設立日は、原則として法務局に登記申請書を提出した日となります。そして、登記が完了すれば登記完了証が交付されます。

登記完了証が交付され、登記事項証明書や印鑑証明書、印鑑カードができるまでには、登記申請書を提出してから1週間から2週間ほどかかるでしょう。

会社設立に必要な費用は?

株式会社を設立する場合は、主に以下のような費用がかかります。

定款認証にかかる手数料:5万円(他に謄本代などで約2,000円が必要)

収入印紙代:4万円(電子定款により認証手続きを行う場合は不要)

登録免許税:15万円

合計 約20~25万円

会社設立後に必要な手続きは?

無事に設立登記申請が受理され会社が設立されたとしても、各種届出など会社設立後に必要な手続きもあります。ここでは、会社設立後に必要な手続きを見ていきましょう。

会社の口座開設を行う

会社設立が完了したら、会社名義の口座を開設します。審査基準は個人の場合よりも厳しく、開設まで時間がかかることが多いので、会社設立後すみやかに手続きをしてください。

口座開設に必要な書類は以下の通りです。

会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)

定款

会社印

代表者の印鑑証明書

代表者の実印

代表者の身分証明書

会社の概要がわかる資料

なお、金融機関によって口座開設に必要な書類や資料は異なります。事前に金融機関のホームページなどを確認してください。

税務署・都道府県税事務所・市区町村役場へ法人設立届出書を提出する

会社を設立した後は2か月以内に、法人設立届出書を税務署・都道府県税事務所・市区町村役場へ提出する必要があります。

また、青色申告承認申請書も同時に提出するようにしましょう。青色申告承認申請書の提出は、その後の会社経営に大きな影響を及ぼしますので、忘れずに行ってください。